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特筆すべきこと

 

ずっと信じていると素晴らしいことが起きる・・・

 

 

東京で生きることはかなり大変で(なんだ、突然?)

名古屋というぼわわんとした暖かい“許してくれる”世界に背を向けて18歳の時、出てきたので(そんな悲壮じゃないが)

簡単に帰るわけもいかず(そんな遠くないって)

でも、東京では泣き言を言っても皆、我関せずで(うまく伝わらないだけだ)

でもよく見ると私と同じような中途半端人だらけで(だから付き合えるのだが)

私としては、ある程度、見栄を張って前を向いて小さいことは気にせずに(大きい問題も楽観的に・・要するに深く考えず)

とにかく歩き続けることが重要だったわけです

 

 

 

1980年くらいから“社会”とのかかわりが具体的になって(まあ、仕事人生始まったということです)

しかるにいろいろと紆余曲折あるわけですが

いい時も困った時も常にロックを聞いてきました

特にその時の心情にぴったり来るアーティストと出会うと

素直に喜んだり悲しんだり出来て

しかも前に進もうと思うことが出来たわけです

現実との折り合いをつけられた

心理的バランスがとれた

 

 

私の場合それは

佐野元春さんの音楽や詩や発言でした

 

 

ロックアーティストは3種類しかいません

伝説の人

信用できない人

信用できる人

 

 

ロックは音楽の形態の一つですが

それは同時に「生き方」の形態でもあります

1960年代に伝説のロックを生で聞いて

「・・・・こうやって生きればいいのか」

と人生を“踏み外した”

 

はっぴいえんどはまさに伝説ですが

彼らが生み出したものは膨大で

日本語とロックの距離感を短くした“神の手”でありました

東京に来たきっかけは「春よ来い」という曲  

 

はっぴいえんどは解散したが

その後はっぴいえんどの文脈のミュージシャンはほとんど聞きました

 

佐野さんも『ナイアガラトライアングルVol.2』で知ることになる

 

時代が大きく変わる‘80年代に登場した佐野さんの音楽は

完璧なロックでかっこよくて

詩のメッセージがストレートに響いた

スタイルも発言も・・・

仕事を続けていたのも

NYに行ったのも

佐野さんの音楽に“後押し”された

  

 

 

そして時が経ち

去年のアルバム「Coyote」は佐野さんがやはり「佐野元春」であり続け

時代と格闘し続けていることがわかる

感動して、同時に、はっとした

私は中年になったが“あの時”と何が違うのか

やはりこの社会で生きることの違和感を拭い去れないままだ

曲の隙間からあの頃の“視線”が甦る

いらいらや諦めや怒り

都市を美しいと思うこと

アゲンストな風に向き合うこと

とにかく前へ・・・ 

要するにバランスを取って歩き続けるしかないではないか

同じだ

あの時と同じだ 

その接点にやはり佐野さんの音楽があったのだ

 

これが信用できるロックだ

 

 

 

で、最近

ちょっと縁があってなんと!直接!お会いすることが出来た!

物静かで高潔なしぐさで

まるで外国の高貴な方のようだったが

しかして話は“あの熱”を帯びていて

まさに佐野元春さんそのものだった

俗人の私は素直に感動したのでありました

 

 

ずっと信じていると素晴らしいことが起きる

また生きようと思いました

 

 

最近、「私的奇跡」が何度もあって幸せだ

 

 

ダビング続く

 

 

コメント (5)

Marie [TypeKey Profile Page]:
堤監督、佐野元春さんに直接、生でお会いになられたのですか!?「おめでとうございます!」
お読みしていて監督の興奮や熱い感動、喜びが伝わってきて幸せな気持ちになりました。


私は余りロックを知りません。でも、佐野元春さんの「SOMEDAY」に勇気を貰い「バルセロナの夜」に慰められた事があります。特に「バルセロナの夜」には何度逃げ込んだか知れません。その度に最後のフレーズに励まされて、歩き直してきました。
「愛」を忘れた時
「生きていく道」に迷った時
そういえば、いつも佐野元春の歌があったな…と監督のお話をお読みしていて思い出しました。
今から佐野元春さんの「バルセロナの夜」を聴いて、監督の「明日の記憶」を観ようと思います。「バルセロナの夜」の最後のフレーズと「明日の記憶」のラストシーンが、私には重なってきて、胸に響いて涙が溢れます。温かいフレーズと柔らかな映像に包まれて、癒されたいと思います。


堤監督の根底に、たしかに佐野元春さんは流れていたのですね。


タビング頑張って下さい。ラジオも楽しみにしています。幸せな気持ちになれるお話を有難うございました。
ジャクソン [TypeKey Profile Page]:
憧れのロックスターにお会いになられた監督の感動が何だかわかる気がします。  自分も監督同様、ロックで道を踏み外しました。ロックとは音楽をきっかけとした生き方であり、哲学だという事を知り、自らの生き方に影響を受けました。自分は本当に無力で人の役に立つ事など永遠にできないと、考えていましたが、ロックと出会い、変われた気がします。   ロックな生き方というのは社会から受け入れられないものであるというのは、常々感じます。しかし、自分がその生き方を選んだことを全く後悔していません。むしろこんな素晴らしい生き方はないと思っています。     20世紀少年の魅力は、空想科学冒険の素晴らしさももちろんですが、ロック・スピリットというものが根本にある事です。 ケンヂがギターをかき鳴らすシーンは漫画史、映画史、そしてロック史に残る名場面だと思います。    憧れのロックスターに会えた感動は計り知れないものでしょうね。 ロックとは平凡な人間に地球を救う決意をさせるほどのエネルギーのあるものなんですよね。     「信じていると素晴らしいことが起きる」という言葉で何だか心が満たされました。
ふらう [TypeKey Profile Page]:
私もあの頃、繰り返し繰り返し元春を聴いていた時間
閉じた私が無意識に光を求めていた気がします。
渋公のステージに飛び出して歌いはじめた元春の姿は
(その瞬間しか記憶にないけど)
ずっとかっこいいまま、そして今も眩しい元春です。

「私的奇跡」は
堤監督へのご褒美ですね。よかったですね

あ、久しぶりに「ファーゴ」を観ました。
音楽も映画も、年を重ねても変わらぬ新鮮さや感動があり、そして
年を重ねたからこそ意味がわかるフレーズやシーンがありますね。
作品が残るって、素晴らしいことです。


堤監督の作品は、
わたしにとって「また生きよう」と思えるきかっけをくれます。
監督さん、こんばんわ☆ 佐野元春さんの音楽は、監督さんにとって、 信用できるロック♪ 佐野元春さんと、直接、 お会いすることができて、 本当に良かったですねぇ♪♪ この先も、ご縁も御幸せも まだまだ、まだまだ、まだまだ 続きますように♪
canary [TypeKey Profile Page]:
私は堤監督作品のファンですが、特定の監督さんに凝るのは初めてです。
十数年前、野茂投手のCMの「経験の唄」で佐野元春さんのファンになりました。
それからナイアガラ・はっぴいえんどのファンにもなりました。
そして現在、堤監督のファンでもあるのは、リンクしているようで不思議に思いました。
でも、佐野元春さんと堤監督が発するメッセージは、似ているように感じています。
お二人がお話しされてるとこを覗きたかったです~。

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2008年12月07日 11:15に投稿されたエントリーのページです。

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