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奥穂高岳登頂!

 

映画「20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗」

堂々公開中!

ご覧になった皆様、ありがとうございます!

これからご覧になる皆様、どうぞごゆっくりお楽しみください!

ちょっと(時間的に)長い映画ですがよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

さて、 

奥穂高岳に登ったこの数日は、私の人生でも特異な数日だった。

両足に残る久々の筋肉の激痛は、まさに激しく痛く、いかに「特異」であったかを物語るのだが、しかしそれは生涯忘れることの出来ない“精神的な成果”をともなっている。

ありがたいことだ。

「生きててよかった」と思う。

 

そもそもなぜ数年前、山に登ろう!と決意したのか?

それまで極端な山岳愛好家にはむしろ「・・・・・」と思っていたのに。(それは彼らにしか見えない世界があることへの嫉妬だ)

子供の頃から肉体的に辛いことはなるべく避けてきたのに。(それは避けても生き残ることが出来るとわかってしまったからだ。小学校のドッジボールで。小利口だ)

つーか高所恐怖症で高いところの映像を見るのも辛かったのに。(それはホント。脚立やイントレにも上がれない)

 

人に問われれば、年齢のせいとか、そういう時代だろ!とか、健康のための究極的挑戦とか、創った風景ではなく本当の風景で感動したいとか、果ては「そこに山があるから」とか、「呼ばれてんだよ!山のヤロウにさ」とか、数多の意味不明なコトを言ってきたが、それは<きっかけ>であって、本当の理由ははっきりと自分でもわからなかった。

 

でも今回少しわかった気がした。

“東京ウォーキング”を続けても一向に進歩していない体力。次々、ワタシ(達)を追い越していく老人登山愛好家。「もう一歩も歩けない」と悲鳴を上げる両足。「もう帰ろ、楽になるぞ」と何度もリピートする心。

だが、もろもろの苦痛や弱さの先に、一歩一歩近づいてくる『歩いて行くしか見ることの出来ない風景』

それを眼前にした時の気持ちは、文字にしようがない。

長く憧れていた涸沢カール。大雪渓。

聳え立つ穂高連峰。

上高地から徒歩半日、涸沢ヒュッテから見た究極の風景。

求めていた場所に自分の足で、立つ。

安直に届かない場所。 

これぞ最大の快楽なのだ。

達成ということ・・・

 

 

 

 

9月2日

夕方、ワタシの無謀な誘いに付き合っていただいた長年の盟友でありCGアーティスト・大学教授 原田大三郎氏と新宿駅にて合流。

松本へ。

駅前のビジネスホテルで、立山登山の時もお世話になった名古屋の鳥居さん(山や自転車やアウトドアーのプロ・本業は広告デザインディレクター)、ワタシの親友マツシタ(鳥居さんを紹介してくれた、旅行のプロでもある)と合流。

串焼き屋で結団式。

9月3日

5時出発。 

6時に沢渡(さわんど)着。

開田高原で「ロッジ上天気」をやっていらっしゃるやはり山やスキーのプロ、寺本さんと合流。

マツシタは名古屋に戻る。

上高地にタクシーで入り、装備を整え、水を汲み、いざ涸沢を目指し、出発。

梓川沿いに河童橋~明神橋(明神池ちょっと見学)~徳沢~横尾。

途中、鳥居さん持参のマルタイラーメン(うまいっ!)などいただきながら、歩く歩く。

ここまではほぼ120m上がるだけの緩やかな自然散策コース。

適度に休憩。 

ここからつり橋を超え、目指す涸沢ヒュッテ2309mまで、約700mの登り登り!

途中、国内最大級の岩場屏風岩を見上げ、圧倒され、樹林帯を必死で歩く。

合計7時間(コースタイムは6時間、休んでばっかりだからね)でヒュッテの下の小さな雪渓。ヒュッテの方が作ったであろう雪の階段に感動の間もなく登り続け、

午後2時、夢にまで見た大雪渓と3000mを超える頂が聳え立つ涸沢カールに立つ。

へとへとの疲れも、眼のうれしさで一瞬で吹き飛ぶ。

砦のような山小屋、涸沢ヒュッテに投宿。

楽になって、屋根上テラスで生ビール。

少し曇り気味だが360度連峰に囲まれて、目的の第一段階はクリアー。

昔、氷河が創ったというこの渓谷の映像を3年前に見てからどうしてもここに来たかったのだ。

我々の他にも、かなりのご年配の方々の大集団。

ハイジが出てきそうなヨーロッパ風の渓谷に、ネパール風の複合建築の砦。

様々な人々。

ビギナーのワタシにはなかなかシュールな光景だ。  

翌日からこの山荘で大規模なフェスが開かれるとのコト。

なんだかざわざわと落ち着きがない。 

翌日の奥穂高登頂に緊張するワタシと原田氏はそんなお祭り気分はどうでもよく、

午後5時、夕食をいただいて、荷物を整理し、歯を磨き、なんとすぐ就寝。

ケータイもネットも風呂もなく、テレビすらままならない場所では、読書か寝ることだけなのだ。 

山小屋では基本の雑魚寝、鼾の大合唱で時々起きるも、何とか横になっていた。

 

9月4日

午前3時(ワタシだけ)起床。

真っ暗な中、頭のライトを頼りに洗面、体操、荷物チェク。

素人だから不備があってはならない。

場合によっては命にかかわる。 

鳥居先生の教えに従って軽装備、だが必要なものはきちんと・・・を心がける。

午前5時、いよいよ奥穂高岳を目指して出発。

標高差881m。

暗い中、もうひとつの山小屋、涸沢小屋を超え、大雪渓を横に見ながら、急斜面を上がる。

わずかな歩行でへとへと。

のぼりの連続。あたりまえか。 

途中からザイテングラートと呼ばれる登山道。

なんだかメルヘンな・・・と思っていたらとんでもない。

急な岩場、クサリやハシゴで登る危険ポイント、岩尾根のオンパレード・・・

これぞ山登り。 

約3時間で2983メートルの穂高岳山荘。

小休止の後、いよいよ山頂へ。

3000m越えへ。 

いきなりの垂直に近い登攀(に見えた壁のぼり)や恐怖の両側大絶壁。

そのまま「孫悟空」とか「ピンクフロイドのレコードジャケット」とか「ハリーポッター」とかに使えそうなロケーション。

そんなことでも考えていないと、辛い辛い。 

そして一時間でついに奥穂高岳3190メートルの頂に!

日本で3番目の高さ!

先生方のご指導の賜物で何とか登頂!

あいにくガスが頂を蔽い、絶景にはならなかったが、

そんなことより「ここにいる」喜びが勝った。

相当恐ろしかったが、やれば出来る。

感動のあまり、頂上でビデオを延々撮影。

そこから見えるであろう絶景に思いをはせ、

ルートを開発した人々や、ここに来る条件を作ってくれた方々に感謝し、

二度とは来ない(来れない)かもしれないので、別れを惜しむ。

 

 

そして下山。

これがまた恐ろしい。

登るより恐ろしい。

スパイダーマン(そんなかっこよくない、相当みっともない)のようになりながらホウホウの体でへばりつくように下山。 

 

その日もヒュッテ泊予定だったが、フェスであまりにもたくさんの人がやってくるので、かなり無謀だったが、そのまま上高地まで下山し、

開田高原の寺本さんの「ロッジ上天気」に行く決意。

午後6時までかかった下山は、今までの人生で一番肉体的に疲れたと思う。

何しろ朝の5時から歩いているのだ。 

膝への負担、どんどん重くなるザック、降り出した雨、雷・・・

原田氏も「苦行だ・・・」と無言。

まるで10週遅れのほとんど歩いているマラソンランナーのようにゴール。 

 

午後7時。

近くの温泉で全てを洗い流し、いざ開田へ。

いったん19号線まで出て、木曽御岳山の麓。

初めて来たのにまるで自分の家のような雰囲気の「ロッジ上天気」

寺本さんご一家に無理言って、午後9時からバーベキュー。

地元の野菜や肉や水のうまいこと!

言うまでもなく午後11時には爆睡。

手入れの行き届いたベッドで朝まで。 

 

9月5日

素敵な朝食をいただき(パンや卵がおいしい!パンは寺本さんの奥様が作ったそうだ!)

そして記念写真。 

せっかくなので開田高原を案内してもらう。

驚いたのだが、およそ私が見た日本の“高原”の中では一番美しいのではないか。

御岳に抱かれ緑豊かな幸福な土地。

建物と建物の距離感が広い。

冬は寒いらしいが、一年中極上の季節のようだ。 

フランスで修行され、手作りの石釜でパンを焼いている「タビタ」というパン屋さん。

かなり奥まった店でありながら、良心的にパンのおいしさを追求されていた。  

ミックスパン(クルミ、レーズン)のうまいこと!

この「ロッジ上天気」と「タビタ」ですっかり癒されまくって、

ついでにキレイな「馬」を見て、そばを買い

皆様とはお別れ。 

木曽福島から松本へ。

ホテルに残していった荷物をピックアップし、

喧騒の新宿へ。

 

 

鳥居さん、寺本さん、寺本さんのご家族、

原田さん

ありがとうございました。

(原田さんのブログに涸沢のいい写真あります)

語りつくせないいい体験でした。

またよろしくです。

 

鳥居先生HP

 http://kokokukyowakoku.jp/staff.html

ロッジ上天気HP

http://www.jotenki.com/

原田さんHP

http://blog.goo.ne.jp/daizaburo_1956/

 

 

そして日常に戻ってきた。 

登山道具を洗ったり、干したり・・・・

 

映画「BECK」も本格的編集へ。

勉強もたまっている。

次の作品の準備も・・・・

 

なんだかがんばれそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (1)

Marie [TypeKey Profile Page]:
お疲れ様でした堤監督。
お話、頭に情景が浮かぶ様で堪能させて頂きました。
ガスっていたようで、ザイテングラードから先は大変だったのですね。お怪我がなくてなによりでした。
「タビタ」のパン屋さん、美味しいですよね。あんパンは絶品です。


鳥居先生のブログ、拝見しました。下山直後の監督のお写真を拝見しながら、どんなにキツクても面白く映って行こう!という監督の姿勢に感動しました。
「ロッジ上天気」のHPも楽しかったです。真空管アンプの輝きがいいですね。
そして原田大三郎様のブログの涸沢のお写真、拝見しました。どんな言葉も安っぽく思えて、いい言葉が思い付かないのですが、敢えて言うなら…綺麗ですね。雄大です。
更に三頭山のお写真も拝見してしまいました…汗
一瞬固まりましたが、どういう訳か、画像保存してしまいました。すみません…ツボです。


「20世紀少年」、観に通ってます。慣れるかと思いましたが、やっぱりラストは泣きます。
「BECK」の編集や勉強頑張って下さい。朝夕涼しくなりましたので風邪にもどうぞお気をつけて…

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2009年09月06日 12:02に投稿されたエントリーのページです。

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